😖「なんだか顎が疲れる…」それ、TCHが原因かも!?〜歯の接触癖にご用心〜
2025年11月2日

「口を閉じてるとき、上下の歯がくっついているのが普通だと思っていませんか?」
実は、それ…「TCH」かもしれません!
TCHは、一見なんてことのないクセに見えますが、放っておくと顎の痛みや歯の不調につながる可能性があるんです。
今回は、TCHの正体と対策をやさしく解説します✨
🦷TCHってなに?
TCH(Tooth Contacting Habit)= 歯の接触癖は、食事や会話とは無関係に、上下の歯を無意識に軽くくっつけ続けるクセのことです。
🟡 「強く噛んでいる」わけではない
🟡 「軽く接触しているだけ」でも
🟡 長時間続くと顎や歯にじわじわ負担が…
通常、人はリラックスしているときには上下の歯の間にすき間(安静空隙)があり、歯が接触していないのが自然な状態なんです。
でもTCHがある人は、たとえば👇
-
パソコン作業中💻
-
集中してスマホを見ているとき📱
-
電車でぼーっとしているとき🚃
…知らず知らずのうちに歯が当たってる!
⚠️TCHが引き起こすカラダのトラブル
😣 顎関節症(TMD)の原因に!
海外の研究では、顎関節症の患者さんの半数以上にTCHが見られたという報告も📊
TCHがある人は、顎の痛みが長引きやすい、治療しても改善しづらいといった傾向が示されています。
👂顎の違和感や「カクッ」という音
🗣 口が開けにくい・しゃべると疲れる
💢 顎の筋肉が固まるような感覚
…これらはTCHが関係しているかもしれません。
💆♀️ 頭痛や肩こりも?
TCHによって、顎を動かす筋肉(咬筋や側頭筋)がずーっと緊張状態に…
その結果、頭痛・首のこり・肩こりなどに波及することもあるんです。
「ストレスがかかると、つい歯をギュッと当ててしまう」
そんな方は要注意⚠️
🦷 歯や歯ぐきにも悪影響
長時間の歯の接触は…
-
歯のすり減り(摩耗)やヒビ
-
詰め物・被せ物の脱離
-
歯ぐきの負担による違和感
-
知覚過敏や違和感
といったトラブルのリスクもUP!
歯は「軽い力×長時間」でも少しずつダメージを受けてしまうんです😣
🛡TCHを防ぐには?今すぐできるセルフケア
✨基本ルール:「唇は閉じる、歯は離す!」
このシンプルな意識づけが超重要!
リラックス時は上下の歯が触れていないのが正解です。
📌気づく工夫(自己チェック)
など、1日に何回も“気づく”チャンスを作るのがコツ!
🧘♀️対処行動(習慣を変える)
TCHに気づいたら、すぐに👇
-
顎をゆっくり落としてリラックス
-
深呼吸する
-
舌先を上あごに軽くつけて歯が当たらないようにする
こうした“代わりの行動”を繰り返すことで、少しずつクセを修正できます💪
📱行動療法アプリやガジェットも!
最近の研究では、スマホアプリによる認知行動療法や、
歯が当たると振動するバイオフィードバックデバイスも注目されています!
一定期間使うことで、TCHの頻度が減り、顎の痛みや頭痛も改善されたという報告も📉
💡おわりに
TCHは「ちょっとしたクセ」と思われがちですが、
実は長期的には大きな問題の引き金になることもあります。
でも、早めに気づいて、行動を少し変えるだけで改善できる!
今日から「歯を離す」を意識して、顎と歯をいたわってあげましょう😊💕
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ジルコニアってなに?💎✨
2025年09月29日

最近の歯科治療でよく耳にする「ジルコニア」。
聞いたことはあるけれど、「何者?」と思われる方も多いのではないでしょうか❓
ジルコニアとジルコニウム、どう違うの?🔬
ジルコニアは、元素「ジルコニウム(Zr)」からできる酸化物(ZrO₂)のこと。
イメージとしては、チタンが酸化すると「酸化チタン」となり、日焼け止めや化粧品に使われるように🧴、
ジルコニウムが酸化してできたのが「ジルコニア」です。
白くて安定したセラミックで、とても硬く、美しいのが特徴です✨。
歯科以外でも活躍するジルコニア🌍
実はジルコニアは、歯科だけでなくさまざまな分野で使われています。
⚙️ 工業分野:耐熱性・耐摩耗性に優れているため、エンジン部品や工具に。
🏥 医療分野:人工関節やインプラントの材料に。
💍 宝飾分野:人工ダイヤ(キュービックジルコニア)としておなじみ。
つまり「硬くて丈夫、しかも見た目がきれい」な特性を生かして、幅広く活躍しているのです🌟。
なぜ歯科で人気なの?🦷
ジルコニアが歯科材料として注目されている理由は大きく3つあります。
💪 強い!:金属に匹敵する強度を持ち、奥歯のかぶせ物にも使える。
😁 自然で美しい!:金属のように黒くならず、歯のような白さで口元が自然に見える。
🌱 体にやさしい!:金属を使わないので、金属アレルギーの心配が少ない。
こうした特徴から、近年ジルコニアは前歯から奥歯まで幅広く用いられるようになりました✨。
他の材料と比べると?🔍
歯冠修復の材料には、金属、ポーセレン(陶材)、レジン(プラスチック系)などがあります。
🪙 金属(メタル)
◎ 強度が高く壊れにくい
△ 見た目は銀色で目立つ、アレルギーの可能性
🍶 ポーセレン(セラミック)
◎ 透明感があり非常に美しい
△ 割れやすい、費用が高い
🧩 レジン(プラスチック系)
◎ 費用が比較的安い、保険で使えるものもある
△ 変色しやすい、強度が弱い
💎 ジルコニア
◎ 強度と白さを両立、アレルギーリスクも少ない
△ 透明感はやや乏しく、色調の再現性はポーセレンに劣ることがある
△ 硬すぎて対合歯を傷めることがある、調整や修理が難しい
つまりジルコニアは「強さと自然な白さのバランスがとれた材料」ですが、万能ではなく使い方に注意が必要なのです⚖️。
まとめ🌸
ジルコニアは、ジルコニウムが酸化してできるセラミックで、
日焼け止めや化粧品に使われる酸化チタンのように🧴、私たちの生活に役立つ安定した材料です。
その強さと自然な白さから、今や歯科治療でも欠かせない存在に✨。
ただしメリット・デメリットを理解したうえで、どんな材料が自分に合っているかは歯科医と相談しながら決めることが大切です🦷💬。
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前のお医者さんを評価すべき? 🤔
2025年09月22日

歯科医院では、こんな場面があります。
「前に行っていた歯医者さんでこういう治療をされたけど、大丈夫でしょうか?」
そんな時に、後から診る歯科医師が前のお医者さんの治療を“良い”とか“悪い”とか言うべきかどうか――。
不確かな情報で評価はできない 🕊️
私は、過去の治療を安易に評価しないようにしています。
なぜなら、その時の状況を正確に知ることはできないからです。
-
患者さんの体調や希望
-
経済的な事情や生活の背景
-
当時の歯の状態や他の治療との兼ね合い
こうした情報は、その場にいた人にしか分かりません。
断片的な情報だけで「良かった・悪かった」と決めつけてしまうのは、公平でも誠実でもないと思うのです。
サッカーの監督交代に似ているかも? ⚽️
サッカーではチームの成績が低迷すると、マスコミやファンが「監督の戦術が悪い!!」と厳しく批判します。
さらに負けが続くと、監督が退任させられることもありますね。
でも、新しく就任した監督が、前の監督を強く批判する場面を見たことがある方はいらっしゃいますか?
ほとんどないですよね。
なぜなら、新しい監督は当時の事情をすべて知っているわけではないからです。
選手のケガや体調、クラブの方針や財政状況、ロッカールームの雰囲気……外からは見えない要素が山ほどあります。
だからこそ、新しい監督が語るのは過去の評価ではなく、「これからどう戦うか」。
歯科治療も同じで、私に見えるのは「今」の状態だけ。
だから私は「未来にどうつなげるか」を考えるようにしています。
もちろん説明は必要 💡
もちろん、患者さんが不安に思っているなら、過去の治療と今の状態を関連づけて説明することはあります。
これは批判ではなく、冷静な情報提供です。
大切なのは「これから」 🌱
過去をどう評価するかよりも、もっと大切なのは――
今の状態をどう整え、これからどう良くしていくか。
私は過去を断定的に評価するのではなく、
-
「今の状態はこうです」
-
「これからできることはこうです」
と、未来志向でお話しするようにしています。
まとめ ✨
過去の治療は、不確かな情報のまま「良い」「悪い」と評価できるものではありません。
大切なのは――
-
評価よりも「今」を正しく理解すること
-
未来に向けて一緒に考えること
医療もサッカーも、過去を振り返るより「これからどうするか」が一番大切。
その姿勢こそが、患者さんに安心を届けることにつながると私は思っています。
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お休みの日、歯医者さんは何してる?🦷🎉
2025年09月15日

「歯医者さんって、休みの日は何してるんですか?」
患者さんからそんな質問をいただくことがあります。
確かに、「休みの日も診療してくれたら助かるのに〜」と思う方もいるでしょう。
実際に、休日診療している歯科医院もあって、それは本当にありがたい存在です👏✨
でも…人間ですからね、歯医者にも休日は必要なんです😂
むし歯と格闘する日々でヘトヘトになった体と頭をリフレッシュして、また元気に働くために。
では、私の場合、休日はどんな過ごし方をしているかというと…👇
家族と過ごす時間👨👩👧👦
平日はなかなかゆっくりできないので、休日は子どもと遊んだり、一緒にご飯を食べたり、家族時間を満喫しています。
趣味でリフレッシュ🎣🏃♀️📚
運動したり、本を読んだり、ドライブしたり釣りに出かけたり。ときには昼寝でゴロゴロ…そんな のんびりとした平和な時間 も大事です😆
勉強や研修、そして執筆📖🖋
最新の知識や技術を身につけるために学会やセミナーに出かけることもあれば、まとまった時間がないと書けない論文や記事をコツコツ進める日もあります。
平日はできない仕事をする📂🚗
たまっている事務作業を片付けたり、平日にはなかなか伺えない訪問診療に行ったり。歯科医院の裏側は意外と忙しいんです💦
地域の活動に参加🤝
学校健診や地域の健康イベントに出かけてお話しすることも。診療室の外でも、地域のみなさんの健康を支えています。
休日の大切さ🌿
歯医者が休日に休んだり、勉強したり、事務作業をこなしたりしているからこそ、平日は元気いっぱいで診療できるんです。
もし休みなく働いていたら…集中力も落ちて、治療が雑になっちゃうかも!?😱
それは患者さんにとっても困りますよね。
だから、「歯医者さんがお休みの日にしっかり休むこと」も、実はみなさんのためになっているんです✨
ということにして、休みを頂いています(笑)
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🦷歯の根っこのむし歯を防ぐ!おうちでできるケアのコツ✨
2025年08月25日

高齢になると歯ぐきが下がって「歯の根っこ(歯根)」が見えてくることがあります。
実はここにできるむし歯を「根面う蝕(こんめんうしょく)」と呼びます。
根面う蝕は進行が速く、放っておくと歯を失ってしまう原因になることも…😣
でも、毎日のホームケアでしっかり予防することができるんです💪
今回は、おうちでできる予防のコツをご紹介します🌸
1. 🪥フッ素入りの歯磨き剤を選ぼう
歯の根っこは弱いので、フッ素がとても大事!
✅ 1,100〜1,400ppmFの歯磨き剤がおすすめ
✅ 1日2回以上、歯ブラシのヘッドくらいの量を使う
✅ 磨く時間は 2分以上
(海外には5,000ppmFの歯磨き剤もありますが、日本では一般的に使えません)
2. 🧴フッ素入りの洗口液もプラス
歯磨きだけじゃなく、フッ素入りの洗口液を併用すると効果アップ⤴️
✅ 250〜900ppmFのものを1日1回
✅ 味や刺激が少なく、続けやすい😊
ただし、飲み込んでしまう恐れがある方には注意が必要です⚠️
3. 🪥ブラッシングの工夫
磨き方も大事なポイント!
✨ むし歯になりやすい所(奥歯・歯ぐきの近く)からスタート
✨ 歯ブラシは 15〜30度の角度 をつけて当てる
✨ 手が不自由な方には、大きめの歯ブラシや電動歯ブラシがおすすめ
最近は、毛の太さを組み合わせた「複合植毛」の歯ブラシもあって便利です👍
4. 🚰すすぎは少なめに!
せっかくのフッ素を流しすぎないように、
磨いたあとは少量の水で1回だけすすぐのがおすすめです💧
5. 🤔なぜ根面う蝕ができやすいの?
歯の根っこは酸に弱い⚡
表面に小さな管があり、むし歯菌が入りやすい
高齢になると唾液が減って口が乾きやすい💧
歯ぐきが下がって根っこが露出しやすい
つまり…若い頃よりむし歯になりやすい環境なんです。
🌟まとめ
根面う蝕を防ぐポイントは…
🪥 フッ素入り歯磨き剤
🧴 フッ素入り洗口液
✨ 磨き方の工夫
🚰 すすぎは少なめ
この4つを毎日の習慣にするだけで、歯の根っこをむし歯から守れます😊
「失ったら戻らない歯」だからこそ、日々の小さな工夫で大切に守っていきましょう💖
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🪥もう迷わない!自分に合った歯ブラシの選び方✨
2025年08月11日

ドラッグストアやスーパーの歯ブラシコーナーを覗くと、たくさんの種類の歯ブラシが並んでいて、どれを選んだらいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか🤔
形も毛の硬さも値段もさまざま。
つい「なんとなく」や「パッケージの印象」で選んでしまいがちですが、実は歯ブラシ選びはお口の健康にとても大切なポイントなんです💡
1. 歯ブラシ選びはプロに相談するのが一番👩⚕️🦷
お口の中の状態は、人によって本当に違います。
歯並び、歯ぐきの状態、磨き残しやすい場所などは、自分では意外と分からないもの。
だからこそ、歯科医院で歯科衛生士さんに相談して選ぶのが一番安心です😊
専門家は、あなたの磨き方の癖や歯ぐきの状態を見ながら「毛の硬さ」「ヘッドの大きさ」「持ち手の形」までアドバイスしてくれます✨
2. 歯科医院専売の歯ブラシは“ひと味違う”💎
歯科医院で扱っている歯ブラシは、一般の量販店ではあまり見かけないものが多いです。
値段はやや高めですが、毛先の加工や密度、持ちやすさなど、磨きやすさをとことん追求して作られています👍
実際、「いつもより短時間で汚れが落ちる✨」「歯ぐきにやさしい💖」と感じる方も多く、リピートされる患者さんが少なくありません。
3. 歯ブラシは消耗品!こまめな交換を🔄
せっかく自分に合った歯ブラシを選んでも、毛先が広がったまま使い続けると効果が激減します⚠️
目安は1か月に1本。毛先が少しでも外に広がったら交換しましょう🗓️
歯ブラシ選びは「安ければいい」「有名ブランドだから安心」という単純なものではありません🚫
お口に合った1本を選べば、磨きやすさがぐんと上がり、むし歯や歯周病の予防にもつながります✨
迷ったときは、ぜひ歯科医院でプロのアドバイスを受けてみてください😊
毎日の歯みがきが、もっと楽しく、もっと効果的になりますよ🪥💖
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🦷歯と発音の意外な関係とは?
2025年07月21日

話しづらさ、聞き取りづらさ…それ、歯が原因かも?
「なんだかおじいちゃんの話す言葉が聞き取りづらくなった気がする」
「入れ歯を作ったら、しゃべりづらくて困った」
そんな経験はありませんか?
実は「発音」と「歯」には、思った以上に深い関係がありまして・・・。
今回は、歯が話し方に与える影響について、わかりやすくお話しします。
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🗣️歯がないと、なぜ言葉が聞き取りにくくなるの?
発音には、舌・唇・のど・鼻など、さまざまな器官が関わっていますが、「歯」もとても重要な役割を果たしています。
たとえば、
- 「サ行」や「タ行」は、舌と前歯のすき間でつくられます。
- 「バ行」「マ行」「パ行」は、唇の動きと上下のかみ合わせが関係します。
つまり、前歯や奥歯が失われると、舌や唇の位置が安定せず、音の明瞭さが失われてしまうのです。
特に総入れ歯の方などは、歯の支えがなくなることで「空気のもれ」や「舌の迷い」が起こりやすくなります。
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😬入れ歯を入れたばかりは、なぜしゃべりにくいの?
新しい入れ歯を入れると、最初は違和感が強く、うまく話せないことがあります。
これは、口の中の「感覚の地図」が変わるため。
これまで歯や歯ぐきに感じていたものが、急に「人工のもの」に変わるため、舌がどこに当たれば良いのか分からなくなってしまうのです。
さらに、
- 入れ歯が大きすぎたり、安定しなかったりすると、発音中にズレてしまう
- 入れ歯の厚みで舌の動きが制限される
なども、発音のしづらさにつながります。
しかし、これらは数週間〜1か月ほどで慣れる方が多く、調整によって改善される場合も多いです。
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🦷歯並びが悪いと、滑舌が悪くなるって本当?
はい、本当です。
歯並びが悪いと、舌や唇が本来の位置で動きにくくなり、正確な発音が難しくなることがあります。
特に、
前歯が出ている(上顎前突、下顎前突など)
歯と歯の間にすき間がある(開咬、空隙歯列など)
噛み合わせが深い(過蓋咬合など)
などの場合、「サ行」「タ行」「ラ行」などの音が不明瞭になりがちです。
矯正治療により歯並びやかみ合わせを整えることで、滑舌が改善されるケースもあります。
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🎤まとめ:歯は「発音の土台」だった!
「話す」という行為には、実は多くの筋肉や器官が関わっており、「歯」はその中でも重要な役割を果たしています。
歯が失われたり、形や位置が変わると、舌や唇の動きが微妙にズレてしまい、「聞き取りづらさ」「しゃべりにくさ」につながるのです。
もし最近「滑舌が悪くなった」「話しにくくなった」と感じている方は、歯や入れ歯の状態を見直してみるのも一つの手です。
気になることがあれば、お気軽にご相談くださいね😊
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院内新聞2025年7月号 できました!
2025年07月1日

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歯にまつわる言葉、実は奥が深い!
2025年05月19日

「歯に衣着せぬ」「歯がゆい」「歯の浮くようなセリフ」…。
日常でよく耳にするこれらの言葉、みなさんはどんな意味かご存じですか?
実は、こうした“歯にまつわることわざや慣用句”には、昔の人の感覚や身体のイメージが深く関係しています。
今回は、そんな「歯ことば」の世界を、ちょっと楽しくのぞいてみましょう。
「歯に衣着せぬ(はに きぬ きせぬ)」
意味:思っていることを遠慮せずにはっきり言うこと。
由来:「歯に衣服を着けることをしない」、つまり「歯を隠さない」ということから、そのままハッキリとズバリ言う、という意味になったそうです。
ちなみに、歯科的には歯に色々なものを被せたりしますので、衣を着た歯も結構ありますね(笑)
「歯がゆい」
意味:もどかしくてイライラする、焦ったい気持ち。
由来:
説①「歯がうずくような不快感」や「歯の奥がむずむずする感じ」から、「もどかしくてイライラする」という意味になった。
説②「歯はかゆくても、掻くことができない」ことから、「もどかしくてイライラする」という意味になった
→ 由来はハッキリしていませんが、上の二つが説としてあるそうです。
ちなみに、実際に歯ぐきに炎症があると「歯がかゆい感じがする」とおっしゃる患者さんもおられます。
「歯の浮くようなセリフ」
意味:気持ち悪くなるような、お世辞や甘ったるい言葉。
由来:くすぐったいような、鳥肌が立つような気持ちの悪い感覚を「歯の浮く」という身体の感覚に例えています。
歯科医からすると、「歯が浮いた感じ」の時は、たいてい歯周炎です(笑)
「舌先三寸」
意味:口先だけのうまい話。言葉だけで人をだますことも。
由来はよく分からないようですが、昔は「舌三寸」と言ったそうです。三寸はだいたい9センチメートルですから、日本人の平均的な舌の長さ(7センチメートル)より少し長いですね(笑)
おそらく、三寸程度の舌の先だけで、物事をうまく進めようとする(言葉だけで済まそうとする)という意味なのでしょう。
私のような歯科医も、「舌先三寸」ではなく、心のこもった誠実な説明をしなければ。
「目には目を、歯には歯を」
意味:やられたら同じ方法で仕返しをする、という報復の原則。
由来:古代バビロニアの「ハンムラビ法典」に由来する有名な言葉です。
もともとは、「やられたこと以上の報復をしてはいけない」という意味で、正義や公平を象徴する言葉なのですが、現代では「やられたら同じだけやり返していい」という意味で使われることが多いですね。
時代とともに意味が変わってしまうのも、言葉の面白いところです。
「ごまめの歯ぎしり」
意味:力のない者が不満を言っても、相手には届かないというたとえ。
由来: 「ごまめ」とは、いわしなどの小魚を干した食材で、非常に小さく弱い存在をあらわしています。そんな小さな存在が歯ぎしりしても、大きな相手には何の影響もない…という自虐的な表現です。
昔、あるテレビドラマで「正しいことをしたければ、偉くなれ」というセリフがありました。
この「ごまめの歯ぎしり」という言葉も、悔しがって文句を言うばかりでなく、自分がもっと影響力を持てるように実力をつけなさい、という意味なのかもしれませんね。
ただ、実際の「歯ぎしり」は自分の歯には大きなダメージを与えることもありますので、もし心当たりがあれば一度ご相談ください。
ことわざや慣用句には、私たちの「身体感覚」がたくさん反映されています。
とくに「歯」は感覚が敏感ですから、繊細な違和感や気持ちの揺れを表すのにピッタリだったのかもしれません。
歯や口の感覚を大事にすることは、むし歯や歯周病の早期発見にもつながります。
言葉の面白さを楽しみつつ、「あれ?なんかおかしいな」と感じたら、どうぞお気軽にご相談くださいね。
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院内新聞2025年春号 できました!
2025年04月1日

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