🦷歯医者さんはコンビニより多くて余っている?それはいつまで続くのか
2026年07月5日
「歯医者さんはコンビニより多い」
そんな言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
たしかに、都市部では歯科医院が多く、「歯医者さんはたくさんあるなあ」と感じる地域も少なくありません。
駅前や住宅地に、いくつもの歯科医院が並んでいる光景も珍しくありません。
では、これからもずっと「歯科医院は多すぎる」のでしょうか?
私は、少なくとも地方では、すでに違った見方が必要になっていると考えています。
🧑⚕️歯科医師の数は、今すぐ大きく減っているわけではない
厚生労働省の統計を見ると、歯科医師の数はここ数年で急激に減っているわけではありません。
そのため、全国全体で見れば、今すぐ「歯科医師が足りない!」という状況ではありません。
特に都市部では、今後もしばらく歯科医院数は十分にある地域が多いでしょう。
しかし、ここで大切なのは、歯科医師の総数だけで判断していいの?という点です。
全国の人数だけを見ると、問題が見えにくくなります。
実際には、歯科医師の年齢構成や地域差を見なければ、これから起こる変化はつかめません。
👴歯科医師も高齢化している
歯科医師の年齢構成を見ると、高齢化はかなり進んでいます。
現在も診療を続けている60代、70代の歯科医師は少なくありません。
これは地域医療にとって、とてもありがたいことです。
特に地方では、長年その地域を支えてきた先生方が、今も現役で診療を続けています。
しかし、すべての先生がいつまでも同じように働き続けられるわけではありません。
体力的な問題。健康上の理由。後継者の不在。設備更新の負担。
こうした理由によって、閉院や診療縮小を選ぶ歯科医院は、今後増えていきます。
つまり、現在の歯科医師数が大きく減っていないからといって、将来も安心とは言えません。
高齢化した歯科医師の大きな山が、これから引退の時期に入っていくからです。
📉人口が減るから、歯科医師も減ってよい?
日本の人口は、これから減っていきます。
そう考えると、人口が減るなら、歯科医師や歯科医院も少し減ってちょうどよいのでは?
と思う方もいるでしょう。
この考え方は、都市部ではある程度当てはまります。
人口が減っても、もともと歯科医院が多い地域では、すぐに困ることは少ないはずです。
しかし、地方では話が違います。
問題は、人口が減る速さと、歯科医師や歯科医院が減る速さが同じではないということです。
人口はゆっくり減っていても、その地域の高齢開業医が数人続けて引退すれば、歯科医院数は一気に減ります。
しかも、そこに若い歯科医師が新しく入ってくるとは限りません。
地方では、人口減少よりも速く、歯科医師や歯科医院が減っていく地域が、すでに出てきています。
👩⚕️若い歯科医師の働き方も変わっている
もう一つ大切なのは、若い世代ほど女性歯科医師の割合が高くなっていることです。
これは歯科界にとって自然な変化であり、決して悪いことではありません。
むしろ、多様な人材が歯科医療を担うことは望ましい変化です。
ただし、出産・育児、時短勤務、非常勤勤務、勤務場所の選択などを考えると、単純に歯科医師1人=同じ診療量とは言えません。
これからの歯科医療を考えるには、歯科医師の人数だけでなく、どの地域で、どのくらい診療できるのかという実際の働き方まで見ていく必要があるでしょう。
「歯科医師の人数がいる」ことと、「地域で診療を支えられる」ことは、同じではありません。
💻高齢の先生には続けにくい時代になっている
近年は、歯科医院を運営するために必要な対応も増えています。
オンライン請求。マイナンバーカードへの対応。医療DX。施設基準の見直し。新しい機器や研修への対応。
保険診療を続けるための事務的・設備的な負担は、年々大きくなっています。
もちろん、制度の方向性そのものには必要な面もあります。
医療の安全性を高めたり、情報連携を進めたりすることは大切です。
しかし、小規模な歯科医院、とくに高齢の先生が一人で続けている医院にとっては、こうした対応が大きな負担になります。
「あと数年は診療を続けよう」
そう思っていた先生が、制度変更や設備投資をきっかけに閉院を考える。
これは十分に起こり得ることです。
制度が新しくなること自体は悪いことではありません。
ただし、その変化についていく体力のある医院と、そうでない医院があります。
その差は、地方ほど大きな影響になります。
🗾本当に見るべきなのは、全国平均ではなく地域差
「歯科医師は多いのか、少ないのか」
この話は、全国平均だけでは見えません。
都市部では、今後も歯科医院が多い状態が続くでしょう。
一方で地方では、高齢の先生が引退し、後継者が見つからず、歯科医院が少しずつ減っていきます。
この差を無視して、歯医者はコンビニより多いから余っているとだけ言ってしまうと、地方の現実を見誤ります。
歯科医院が多い地域では、たしかに競争が厳しい。
しかし、歯科医院が減って困る地域も、これから確実に出てきます。
この二つは、同時に起こります。
🌱まとめ
歯科医院は、全国一律に足りなくなるわけではありません。
都市部では、これからもしばらく歯科医院数は十分にあるでしょう。
しかし地方では、人口が減る以上の速さで、歯科医師や歯科医院が減っていく地域が出てきます。
これは、歯科医療が崩壊する!というような話ではありません。
ただ、地域によっては、今よりも歯科医院に通いにくくなる。予約が取りにくくなる。訪問歯科を頼みにくくなる。
そうした変化が、すでに、静かに進んでいます。
「歯医者さんはコンビニより多い」
その言葉は、今の都市部ではまだ実感に合っているかもしれません。
しかし、これからの地方では、その言葉は少しずつ現実と合わなくなっていきます。
歯科医師が多いか少ないか。
それは全国平均で決める話ではありません。
これから必要なのは、地域ごとの実情を見ることです。
そして、地方でも歯科医療を続けられる仕組みを、今のうちから考えていくことだと思います。







