むし歯が浅いうちは冷たいものがしみて、深くなると熱いものがしみるのはなぜ?
2026年01月25日

「冷たい水で歯がキーンとする」
「最近は、熱いお茶のほうがズキッとする」
この違いは、むし歯の進み具合を正直に反映しています。
歯の中で何が起きているのか、順に見ていきましょう。
🦷 歯の中はどうなっている?
歯は、外から内へ向かって次の3層構造になっています。

① エナメル質
いちばん外側。とても硬く、刺激は感じません。
② 象牙質(ぞうげしつ)
エナメル質の内側。
ここが重要です。
象牙質の中には、象牙細管(ぞうげさいかん)という
目に見えないほど細い管が、神経に向かって無数に走っています。
③ 歯髄(しずい)
いわゆる「歯の神経」。
痛みを感じるセンサーの本体です。
❄️ なぜ、むし歯が浅いと「冷たいもの」がしみるの?
むし歯がエナメル質を越えて、象牙質に達すると、
この象牙細管が外の刺激にさらされるようになります。
冷たい水や空気が当たると、
- 象牙細管の中の液体が急に動く
- その動きが神経を刺激する
という現象が起こります。
つまり、象牙細管を通じて、「刺激が間接的に神経に伝わる」と考えられています。
👉 その結果
- 冷たいものが「キーン」と鋭くしみる
- でも刺激がなくなると、すぐ治まる
という症状が出ます。
この段階では、神経そのものはまだ元気です。
🔥 では、なぜ深くなると「熱いもの」が痛くなるの?
むし歯がさらに進行し、神経に近づくと状況が変わります。
神経の周囲では、
軽い炎症(歯髄炎)が起こり始めます。
炎症を起こした神経は、
という状態になります。
ここで「熱」が加わると――
👉 神経の中の血管が広がろうとする
👉 でも歯は硬い殻に囲まれている
👉 圧が逃げられず、強い痛みになる
これが、「熱いものがズーンと鈍く痛む」正体です。
しかもこの痛みは、
といった特徴を持ちます。
⚠️ 冷たいのが平気になった=治った、ではない
ここで誤解されやすいポイントがあります。
「最近、冷たいのはしみなくなったんです」
実はこれ、神経が弱ってきたサインであることも少なくありません。
- 浅い段階:冷たいものに反応
- 深い段階:冷たい刺激には鈍くなり、熱に痛む
というケースは、臨床でもよく見られます。
👉 痛みの“種類”が変わるのは、
👉 むし歯が次のステージに進んだ合図
と考えたほうが安全です。
🪥 早めに診るほど、治療はシンプル
むし歯は、
しかし、
が必要になることもあります。
「ちょっとしみるだけ」
その時点を見逃さず、歯医者さんで診てもらいましょう。
🌱 まとめ
- 歯は三層構造
- 象牙質には刺激を伝える細い管がある
- 浅いむし歯 → 冷たいものがしみる
- 深いむし歯 → 神経が炎症を起こし、熱が痛い
- 痛みの変化は悪化のサイン
歯の症状には、必ず理由があります。
違和感を感じたら、「様子見」ではなく、ぜひ早めに相談してくださいね。
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😮💨💦 誤嚥(ごえん)って、実はとても怖い
2026年01月18日

〜いちばん怖いのは「窒息」、次が「誤嚥性肺炎」です〜
「誤嚥(ごえん)」という言葉、
聞いたことはあるけど、
どれくらい危険なのかはよく分からない…
そんな方も多いと思います。
今日は、
✔ なにが一番怖いのか
✔ どうして起こるのか
✔ 何を気をつければいいのか
を、できるだけ分かりやすくお話しします。
🍚 そもそも誤嚥ってなに?
誤嚥(ごえん)とは、
本来は食道に入るはずの
などが、間違って気管(肺のほう)に入ってしまうことです。
⚠️ 誤嚥で一番怖いのは…
🥇 第1位:窒息
これはもう、ダントツで一番怖いです。
- 食べ物が気道をふさぐ
- 息ができなくなる
- 数分で命に関わる
👉 その場ですぐに起こる危険です。
🥈 第2位:誤嚥性肺炎
こちらは、じわじわ怖いタイプ。
誤嚥したものと一緒に、
お口の中の細菌が肺に入り、
肺炎を起こすのが誤嚥性肺炎です。
特に注意が必要なのが👇
💡 むせない誤嚥(サイレント誤嚥)
👉 肺炎を起こして、初めて分かることもあります。
👀 こんな様子はありませんか?
誤嚥のサインかもしれません。
- 食事中・食後に ゼーゼー、ゴロゴロ
- 声が ガラガラ、湿っぽい
- 食後に息が苦しそう
- 肺炎を何度も繰り返す
「むせてないから大丈夫」とは限らないのが、
誤嚥のやっかいなところです。
🤔 なぜ誤嚥が起こりやすいの?
誤嚥は、ひとつの原因だけで起こることは少なく、
いくつかの要因が重なります。
たとえば…
- 食べ物をうまくまとめられない
- よく噛まずに丸のみしてしまう
- 舌や口の動きがうまくいかない
- 筋肉が弱くなった
- 姿勢が不安定(猫背・体が反る など)
- 逆流や嘔吐がある
- 薬の影響でぼーっとしている
さらに、歯科治療中も要注意⚠️
水・歯石・抜けた歯などが、
誤って気管に入ることがあります。
🦠 誤嚥性肺炎と「お口」の深い関係
ここ、とても大事なポイントです👇
👉 点滴やチューブ栄養など、口から食べていなくても、肺炎のリスクは下がりません
お口の中が汚れていると、
を誤嚥することになります。
食事を食べていないのに、肺炎につながることがあります。
🪥 お口を清潔に保つことは、命を守るケア
これは本当にその通りです。
✅ 今日からできる誤嚥対策
🪑① 姿勢を整える
- 猫背、反った姿勢、崩れた姿勢はよくありません
- 安定した姿勢で食べましょう
- 寝たきりの方も、食べる時は上体を無理のない範囲で起こしましょう
🍮② 食べ物を見直す
- バラバラにならない
- まとまりやすい
- 今の発達や状態に合った硬さ
🪥③ お口をきれいに
- 毎日の歯みがき
- 専門家による歯石除去
- 細菌を減らす=肺炎予防
💨④ 必要に応じて吸引
- 介護が必要な方で、口の中にいつも唾液が溜まっているようなときは、唾液を吸引してから食べ始めましょう。
🚑 もし「のどが詰まった!」ときは
- 迷わず119 救急車📞
- 背中を叩く(背部叩打法:手のひらの付け根で、左右の肩甲骨の中間を何度も力強く叩く方法)
- お腹を圧迫(ハイムリック法:後ろから抱きかかえ、握り拳をみぞおちの下に当てて、手前上方に向かって素早く押し上げ、強い圧力を加えて異物を排出させる方法。基本的には大人に対して行ってください)
- 吸引器で異物が取れる場合には使用
- 意識があれば横向きに寝かせる
「こんなことで救急車を呼ぶのは良くないかな?」は気にしなくてOKです。
窒息はわずかな時間で命にかかわりますので、すぐ救急車を呼びましょう。
✨ まとめ
- 誤嚥で一番怖いのは窒息
- 次に怖いのが誤嚥性肺炎
- むせない誤嚥がある
- お口のケアは命を守るケア
小さな工夫の積み重ねが、
大きな安心につながります。
気になることがあれば、
ぜひ医師・歯科医師・専門職に相談してくださいね 😊
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国の医療費は抑えたい。でも、ちゃんと診てもらいたい。
2026年01月11日

はじめに 😊
SNSやニュースを見ていると、医療についてこんな声をよく見かけます。
- 「国の財政が厳しいんだから、医療費はもっと抑えるべき」
- 「社会保障が膨らみすぎている。医療が不効率だからじゃない?」
一方で、同じ社会から、こんな不満も聞こえてきます。
- 「病院が混んでいて、なかなか診てもらえないんだよ…」
- 「診察時間が短くて、ちゃんと話を聞いてもらえた気がしない」
- 「予約をキャンセルしただけなのに、冷たい対応をされた」
どちらも、素直な気持ちだと思います。
ただ、この2つは――
同時に解決するのは難しい、というのが現実です。
「国の医療費を抑制する」とは、どういう意味か 🤔
ここで少し、言葉を整理します。
この記事で言う
「医療費を抑える」とは、
患者さんの窓口負担を軽くする、という意味ではなく
国や自治体が負担する医療費全体を、これ以上増やさないようにする
というニュアンスです。
- 高齢化が進む
- 医療技術は高度化する
- でも、税収には限りがある
こうした状況を考えると、
「国の財政負担をどう抑えるか」という議論自体は、
決して極端なものではありません。
むしろ必須だと思います。
国の負担を抑えるために、実際に使われる方法 🧩
では、国が医療費を抑制しようとすると、現実にはどんな手段が取られるのでしょうか。
多くの場合、次のような組み合わせになります。
- 💰 診療報酬を上げない、あるいは引き下げる
- 👛 患者の自己負担割合を増やす
- 🏥 医療機関の数を減らし、機能を集約する
- 👩⚕️👨⚕️ 医療者の人数を増やさない(自然減を容認する)
「どれか一つ」ではなく、
少しずつ、同時に進められるのが特徴です。
その結果、現場と患者さんに起きる変化 🌊
① 診察時間は短くなりやすい ⏱️
診療報酬が抑えられると、医療機関は数を診ることで経営を維持する必要があります。
結果として、
- 問診は簡潔に
- 説明は要点中心に
- 「今日はここまで」が増える
これは、医療者の気持ちの問題というより、制度の帰結です。
② 患者の自己負担は、じわじわ増える 👛
自己負担割合の引き上げや、保険適用範囲の見直しによって、
- 「前より支払いが増えた気がする」
- 「これくらいなら、今回は様子を見ようかな」
と感じる人が増えていきます。
国の財政負担を減らす、という意味では合理的ですが、
受診控えが起きやすくなるのも事実です。
軽いうちに治してしまえば何でもない病気が、重症化して命にかかわることが出てくるかもしれません。
③ 予約やキャンセルに厳しくなる 📅
余裕の少ない運営になるほど、
- 空き時間=そのまま収入減
- キャンセル=経営への影響
となるため、予約管理はどうしてもシビアになります。
④ 待ち時間は、むしろ減りにくい ⌛
医療は、工場のラインのようにはいきません。
- 高齢者の複雑な病状
- 予測できない急変
- 急患の割り込み
こうした要素がある限り、効率化しても待ち時間は残りやすいのです。
海外ではどうなっているのか 🌍
アメリカの場合
アメリカでは、国の医療費負担は比較的抑えられています。
その代わり、
- 医療費の多くを個人や民間保険が負担
- 保険の内容によって受けられる医療が大きく違う
という仕組みです。
結果として、
- 「費用が心配で受診を控える」
- 「後から高額な請求が来て驚く」
といった話は、珍しくありません。
ヨーロッパの国々では
ヨーロッパでは、国が広く医療費を負担する代わりに、
- かかりつけ医を必ず経由
- 専門医や検査まで数週間〜数か月待つ
という仕組みを持つ国があります。
自己負担は軽くても、「時間」という別のコストを支払う形になります。
日本の医療は、実はかなり特別
日本は、
- 国の財政負担が大きい
- 比較的低い自己負担
- 自由に医療機関を選べる
- 比較的早く受診できる
という点で、国際的に見ても珍しい位置にあります。
ただしそれは、診療報酬を抑え続け、医療者の努力で支えてきた部分もあります。
物価が高くなってきて、いま全国の病院が経営難に陥っていますが、今まで現場の努力で何とかしていたものに限界が来た結果、ともいえるでしょう。
何を守り、何を受け入れるのか 🧠
- 国の財政負担を抑えたい
- 将来世代へのツケを減らしたい
- 患者の自己負担を増やすこともやむを得ない
そう考えること自体は、決して間違いではありません。
ただし、その選択には、
- 診察は短くなる
- 待ち時間は残る
- 支払いが増える場面がある
という結果も、同時に引き受ける必要があります。
おわりに 🌱
「国の負担は抑えたい」
「でも、今まで通りの医療を受けたい」
この2つの願いの間には、どうしても緊張関係があります。
どんな医療を社会として残したいのか。
そのために、
誰が、どの形で負担を分かち合うのか。
これは医療者だけの問題ではなく、
私たち一人ひとりに関わる話なのだと思います。
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歯周組織って何だろう?
2026年01月4日
今回はちょっと趣向を変えまして…
【歯周組織】について、解説していきたいと思います。
一般の方には分かりにくいかもしれませんが、申し訳ありません。
まず、【歯周組織】の前に、「歯」からご説明しましょう。
歯の、生えている部分(食べ物を噛む部分)が歯冠、歯ぐきの中に埋まっている部分を歯根と言います。
歯の内部も見ていきましょう。
歯の硬い部分はエナメル質と象牙質でできていて、その中には歯髄(歯の神経や血管)があります。
そして、根っこを覆うように、セメント質があります。
実はこのセメント質は【歯周組織】でもあるのですが、それは後でご説明します。
それと、この後の説明は歯のくびれ(歯頚部)の拡大図でしていきますね。
さて、この歯の周りには、歯ぐき(歯肉)がありますね。
そう、【歯肉】が、まず1つ目の歯周組織です。
・・・ところで、なぜ歯の周りに歯肉が必要なのでしょう?
もし歯肉がなかったら?を想像してみて下さい。
もし歯肉がなかったら、あごの骨がむき出しになりますね。
ヤバイ。
それに、歯根もむき出しです。
しみますね。
体でたとえると、皮膚がめくれて無くなった状態と同じです。
皮膚や歯肉のことを「上皮」といいます。
人間の体は、「外に触れる部分は上皮で覆われる」ルールがあるんです。
ふーん、でも「歯」が歯ぐきから突き出てるよね。
歯ぐきに穴あいてるじゃん。
ぜんぶ上皮で覆われるっていうルール破ってない?
と思った方は鋭い。
実は、歯の中でも「エナメル質は上皮由来」なのです。
健康な人は、歯肉とエナメル質という上皮由来の組織で、全て覆われているのですね。
でも、歯と歯肉だけでは噛めないですね。
歯をしっかり支えてくれる硬~い組織、そう【歯槽骨】が2つ目の歯周組織です。
あれ?歯根と歯槽骨の間に隙間がありますね。
骨は、新陳代謝が活発です。自ら壊しては作り直し、を常に続けています。
もし、歯根と歯槽骨が密着すると…
骨の中にある壊し屋「破骨細胞」が歯根を壊し始めます!
壊れたところを、直し屋「骨芽細胞」が骨で埋めていきます!
すると、歯根がどんどん無くなって、骨で置き換わってしまいます。
これは置換性吸収とか、アンキローシスと言われます。
歯根と歯槽骨の間には、何かが必要ですね。
それを埋めてくれるのが3つ目の歯周組織【歯根膜】です。
歯根膜は多くの細い線維でできていて、歯根と歯槽骨を繋いでくれます。
たくさんのロープで歯と骨を繋がれているのを想像して下さい。
でも、ちょっと待って。
ロープの端っこはどうなっているんでしょう?
歯根と歯槽骨としっかり繋ぐには、ロープが歯や骨にガッチリと食い込んでいる必要があるはずです!
そこで、最後の歯周組織【セメント質】の登場です。
セメント質は、象牙質を覆う硬い組織ですが、歯根膜の線維がその中に食い込んでいるんです。
これで、歯根と歯根膜がガッチリくっつきました。
セメント質が歯周組織に分類されるのは、こういう理由なんですね。
もちろん、歯根膜のロープは、歯槽骨側にもガッチリ食い込んでいます。
骨の中でも線維が食い込んでいる部分を、特に【固有歯槽骨】と言ったりします。
実は実は!【セメント質・歯根膜・固有歯槽骨】は、もともと同じ組織から作られるんです。
だんご3兄弟ならぬ、歯周3兄弟。
もう少し詳しく言うと、同じ骨組織なのに、固有歯槽骨は、その周りの歯槽骨(支持歯槽骨)と親になる細胞が違うんです。
レントゲンでは見分けがつきませんが、歯の周りの骨には二種類ある、と知ると、臨床的にも面白い現象があるんです。
ま、それはまた別のお話。
まとめますと、歯周組織は文字通り歯の周りで歯を支える組織で、
①外側を覆う上皮としての【歯肉】
②歯根を支える【歯槽骨】
③歯槽骨と歯根を繋ぐ【歯根膜】
④歯根膜が食い込んだ【セメント質】 です。
長文お読み下さりありがとうございました!
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