🦷歯科医師として、「正解のない問い」と向き合うということ
2025年12月14日
歯科医師として仕事をしていると、
ときどき、こんな瞬間があります。
「……これで、本当に良かったのかな?」
診療が終わったあと、
説明を終えて診療室を出たあと、
ふと、頭をよぎるそんな思い。
医療には「答えが一つじゃない場面」があります 🤔
一般の方から見ると、
医療は「正解が決まっている世界」に見えるかもしれません。
- むし歯なら削って詰める
- 歯周病なら治療する
もちろん、そういう場面もたくさんあります 👍
でも、現場で本当に悩むのは、
医学的な正解だけでは決められない場面です。
たとえば……
- ご高齢で、治療そのものが大きな負担になる方
- 認知症があり、ご本人の意思がはっきり分からない場合
- 「できるだけ口から食べたい」という思いと、安全面の不安がぶつかるとき
こうした場面では、
「これが絶対に正しい!」と言い切れる答えは、正直ありません。
じゃあ、感覚で決めているの?🙄
👉 いいえ、そうではありません。
「正解がない」と聞くと、
少し不安になりますよね。
- 先生の気分で決めているのでは?
- その場の雰囲気で判断しているのでは?
でも、ご安心ください。
日本では、医療・介護・福祉の現場で迷いが生じやすい場面について、
「どう考えていけばいいか」の指針が、きちんと示されています。
国のガイドラインや、医療者向けの手引きには、
共通してこんな姿勢が書かれています👇
- 🌱 まず、ご本人の思いをできる限り大切にする
- 🤝 一人の専門家だけで決めない
- 👩⚕️👨⚕️ 医師・看護師・介護職・家族など、みんなで話し合う
- 🔄 一度決めたことも、状況が変われば見直していい
つまり、
「何を選んだか」よりも「どう考えたか」を大切にしよう、という考え方です。
「迷う医療者」って、頼りないですか?😌
私はむしろ、
まったく迷わず即断できる医療者のほうが、少し怖い
と感じています。
迷うということは、
- 目の前の人の人生を、ちゃんと重く受け止めている
- 簡単に割り切れないと分かっている
ということでもあります。
- ご本人にとって、何が一番つらくないか
- ご家族は、どんな思いでいるのか
- 今だけでなく、これからの生活はどうなるのか
そう考えれば考えるほど、
簡単には決められなくなります。
でも、その立ち止まる時間こそが、
医療にとってとても大切な時間だと、私は思っています。
歯科医師は「答えを押し付けたい」わけではありません 🗣️
「私は分かりませんから、先生にお任せします」
そう言われることもあります。
もちろん、専門家としての意見は、しっかりお伝えします。
でも、人生の選択そのものを、医療者が代わりに決めてしまうこと
には、私は慎重でありたいと思っています。
だからこそ、
- どんな選択肢があるのか
- それぞれの良い点・心配な点
- どんな価値観が関わっているのか
を、できるだけ分かりやすく言葉にして、
一緒に考えることを大切にしています 🤝
🌈おわりに
医療・介護・福祉の「倫理」という言葉は、
ちょっと難しく聞こえるかもしれません。
でも本当は、
「人の人生に関わるとき、どう向き合うか」
という、とても人間らしい問いです。
歯科医師として私は、
これからも――
- 正解がない問いから逃げず
- 一人で抱え込まず
- 悩み、考え、話し合い続ける
そんな姿勢でいたいと思っています 😊
それが、
医療に関わる者としての
いちばん大切な誠実さだと信じているからです。







