まずは「ニコッ」から😊 認知症の方とのコミュニケーション
2026年09月27日
「最近、おじいちゃんが怒りっぽくなった気がする……」
そんなとき、「年を取って頑固になった」で片づけてしまうのは、少し早いかもしれません。
認知症が関係していることもあれば、痛みや体調の悪さが隠れていることもあります。
認知症になると、物事を覚えたり、周りの状況を理解したりすることが難しくなります。
現れ方は人それぞれです。
また、不安が強くなる、怒る、何かを拒むといった変化が見られることもあります。
こうした反応には、本人の体調や周囲の環境、接し方も関わります。
たとえば、同じことを何度も尋ねる方に「さっき言ったでしょう!」と怒鳴ったら、ご本人はびっくりしてしまいますよね。
叱られた理由が分からなくても、怖さは感じるかもしれません。
だからといって、怒ったり拒否したりするのを「家族の接し方のせい」と決めつけるのも違います。
痛み、疲れ、病気、薬の影響など、理由はいろいろ。特に急に様子が変わったときは、介護の専門家や医療従事者に相談してください。
言葉の前に、顔を見せよう👀
私は歯科医師として、認知症の患者さんに接するとき、まず目線を合わせて、笑顔であいさつすることを大切にしています。
診療する側は「お口を見せてもらおう」と思っていても、ご本人には「知らない人が、いきなり口に触ろうとしている!」と感じられるかもしれません。
それなら、拒否したくなるのも無理はありません。
そこで、正面から顔を見せて、ニコッ😊。
「こんにちは。これからお口を見ますね」と短く伝えて、反応を待ちます。
マスクをしていると、小さなほほえみは伝わりにくいもの。
私は心の中で「大爆笑の顔!」と言うくらい、目元にも笑顔が出るよう意識しています😄
すると、ご本人もふっと表情を和らげてくれることがあります。
私はそれを、コミュニケーションを始めるチャンスだと感じています。
もちろん、笑顔が返ってきたからといって、説明が伝わったり、診療を了承してくれたりしたと決めつけてはいけません。
一つずつ伝え、嫌がる様子があれば立ち止まります。
おうちでも試せる、3つのコツ🌷
- 見えるところから話しかける:突然、後ろから声をかけると驚かせてしまいます。
- 短く、一つずつ伝える:「あれをして、次はこれをして」より、「まず、こちらに座りましょう」。
- 返事を待つ:すぐに答えがなくても、少し時間を置いてみましょう。
表情や身ぶり、声の調子も、大切なコミュニケーションです。
ただし、目を合わせるのが苦手な方に無理強いはせず、その方の反応に合わせてください。
思うように伝わらないときこそ、「どうして分かってくれないの?」を「今、何が不安なのかな?」に変えてみる。
小さな笑顔が、通じ合う第一歩になるかもしれません😊
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昔は床屋さんで抜歯!? 「歯の鍵」が使われていた時代🦷🔑
2026年09月20日

「抜歯」と聞くだけで、ちょっと身構えてしまう方も多いですよね😨
でも、現在の抜歯は、昔と比べると器具も麻酔も技術も大きく進歩しています。
そこで今回は少し時代をさかのぼって、現代では考えられない「昔の抜歯」の世界をのぞいてみましょう👀✨
もし数百年前のヨーロッパに生まれていたら、歯が痛くなったときに向かう先は、歯科医院ではなく「床屋さん」だったかもしれません。
しかも、歯を抜く道具の名前は、なんと「歯の鍵(デンタル・キー)」。
いったい、どんな治療だったのでしょうか?
✂️「髪を切りますか? 歯を抜きますか?」
中世から近世のヨーロッパには、「理髪外科医(barber-surgeon)」と呼ばれる人たちがいました。
名前のとおり、髪を切ったり、ひげをそったりするだけでなく、傷の手当てや瀉血などの外科的な処置、そして抜歯まで行っていました。
18世紀半ばごろまでは、この理髪外科医が歯科的な処置の主な担い手の一つだったとされています。[1]
現代風に言えば、
「今日はどうしましょう?」
「前髪を少し短くして、ついでに奥歯を一本お願いします」✂️🦷
という世界です。
なんとも不思議な組み合わせですね😲
ただし、現代の普通の床屋さんが、散髪のついでに歯を抜いていたと考えると少し不正確です。
当時は現在のように、医師、外科医、歯科医師という職業が明確に分かれていませんでした。理髪外科医は、刃物やさまざまな器具を使って、身体に直接処置を行う専門職でもあったのです。
また、現在のようなむし歯治療や根管治療が確立していなかった時代には、ひどく痛む歯への対処として「抜く」ことが重要な選択肢でした。
🔑歯を抜くための「鍵」があった!
18世紀になると、抜歯に「デンタル・キー」あるいは「トゥース・キー」と呼ばれる器具が広く使われるようになります。
日本語にすれば、そのまま「歯の鍵」です🦷🔑
その道具が文献上確認できる古い記載は1742年。
そして1754年のフランスの文献には、「鍵」を意味する名称で登場します。[2]
デンタルキーは、持ち手と金属の軸、その先に付いた爪のような部分からできていました。
その爪を歯に引っかけ、反対側を歯ぐき付近に当てて支点とし、鍵を回すように器具をひねって歯を外します。
名前が怖いだけでなく、使い方もなかなか豪快です……😱
⏱️なぜ、そんな道具が使われていたの?
麻酔がなかった時代には、できるだけ短時間で歯を抜くことが求められました。
そのため、歯が早く抜ける道具であったデンタル・キーが、100年以上にわたって広く使われたのです。
しかし、歯に回転する力をかけるため、歯が途中で折れたり、歯ぐきや顎の骨を傷つけたり、ときには隣の歯まで動かしてしまうことがあったようです。
歯科史家から「危険で野蛮な器具」とまで評されています。[3][4]
鍵を回したら、目的の歯だけでなく、隣の歯まで……😨
ということも、実際にあったようです。
そう考えると、現代に生まれたことが少しありがたく感じられますね🍀
✨抜歯は「力任せ」から「できるだけ傷つけない」へ
19世紀になると、それぞれの歯の形に合うように作られた抜歯鉗子が発達し、デンタルキーは次第に使われなくなりました。[2][3]
もっとも、昔の人たちが、ただ乱暴だったわけではありません。
麻酔もレントゲンも十分な治療法もなかった時代に、少しでも短時間で痛みの原因を取り除こうと工夫した結果、生まれた道具でもあります。
そして現代の抜歯は、「道具をかけて力任せに引き抜く」というものではありません🙅♂️
レントゲンなどで歯根の形や周囲の状態を確認し、麻酔を十分に効かせ、歯や骨の状態に応じて器具や方法を選びます。
必要であれば歯を分割するなど、周囲の組織をできるだけ傷つけずに取り除く工夫も行います。
床屋さんで「デンタル・キー」を回していた時代から考えれば、抜歯の技術は大きく進歩しました😊
それでも、怖いものは怖いですよね。
そんなときは、どうぞ遠慮せずに、
「抜歯が怖いです」
とお伝えください。
現代では、歯を抜くことだけでなく、その不安を少しでも軽くすることも、大切な治療の一部なのです🦷🌿
📚参考文献・出典
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%86%E9%AB%AA%E5%A4%96%E7%A7%91%E5%8C%BB
- https://en.wikipedia.org/wiki/Dental_key
- Lenart K. Dental Keys. Delaware Journal of Public Health. 2018.
- Hyson JM Jr. The dental key: a dangerous and barbarous instrument. Journal of the History of Dentistry. 2005;53(3):95–96.
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歯科医院で低血糖発作が起こったら 🦷
2026年09月13日

歯科治療中に「冷や汗が出る」「手が震える」「動悸がする」「急にぼんやりする」……。
そんなとき、原因の一つとして考えるのが低血糖。血液中のブドウ糖が少なくなった状態です。
インスリンや一部の糖尿病薬を使っている方は、食事を抜いたり、食事が遅れたりすると起こりやすくなります。
まずは治療をストップ。意識や呼吸の状態を確認し、可能なら血糖測定を。
ただし、低血糖が強く疑われるときは、測定のために対応を遅らせないことが大切です。
🍬 飲み込めるなら、ブドウ糖を
意識がはっきりしていて、安全に飲み込める場合は、成人ではまずブドウ糖 10g が目安です。
- ブドウ糖タブレット:ブドウ糖として合計 10g になる個数を。
- ブドウ糖粉末:ブドウ糖 10g を水に溶かして飲みます。
- 経口用のブドウ糖液・ゲル:表示を確認し、ブドウ糖として10gを。
ポイントは、「製品の重さ」ではなく「ブドウ糖の量」で考えることです💡
約15分後に症状と、測定できれば血糖値を再確認。
改善しなければ、安全に飲み込めることを確認して、さらにブドウ糖10gを摂取します。
悪化するときは、15分を待たず救急対応へ。
出典:日本くすりと糖尿病学会
🧃 ジュースでも良い?
意識がはっきりしていて、安全に飲み込めるなら、ブドウ糖を含むジュースや清涼飲料水も使えます。
成人では150〜200mL程度が目安です。
ただし、製品によって糖の種類や量は違うため、どの飲料でも同じ量でよいわけではありません。
出典:糖尿病情報センター
選ぶときは、ここをチェック💡
- 「糖類ゼロ」などの飲料は使わない:甘くても、低血糖を改善する糖がほとんど入っていないことがあります。
- 原材料と栄養成分を確認:「炭水化物○g」が、すべてブドウ糖とは限りません。
- 備蓄するなら、あらかじめ製品を決めておく:ブドウ糖を含むか、必要な量はどれくらいかを確認しておきましょう。
出典:小野薬品工業「低血糖」
ジュースは身近な代用品ですが、医院の備蓄には、ブドウ糖の含有量が明確な製品が扱いやすいですね😊
🥤 ガムシロップでもいい?
糖分を含むガムシロップなども代用になります。ただ、ガムシロップに「果糖ぶどう糖液糖」と書いてある場合、それだけではブドウ糖の量が分かりません。
「糖分10g」と「ブドウ糖10g」は同じではないのです。
また、α‐グルコシダーゼ阻害薬という糖尿病薬を使っている方は、砂糖の分解が遅くなるため、ブドウ糖を使います。
医院には、ブドウ糖の含有量が明記された製品を備えておくと対応しやすいですね。
もちろん、ノンカロリーのガムシロップでは効果はありません。
出典:同学会の手引き
🚑 意識が低下していたら、口から与えない
呼びかけへの反応が悪い、けいれんしている、安全に飲み込めるか分からない……。
そんなときは、タブレットも液体も、無理に口へ入れません。
誤嚥や窒息の危険があるからです。
119番通報と呼吸・気道の確認を行い、救急対応につなげます。
重症低血糖には、グルカゴンなど、口から飲む方法以外の治療が必要です。
出典:NHS
🌱 患者さんも、医院も、事前の備えを
患者さんは、受診前に自己判断で食事や糖尿病薬を変更せず、食べられないときは事前にご相談ください。
医院側も、ブドウ糖の備蓄とスタッフの対応手順を確認しておきましょう。
回復後も再発することがあるため、すぐに帰宅させず、経過を確認して必要に応じて主治医と連携することが大切です。
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🦷スポーツ中の歯を守ろう!
2026年09月6日

スポーツ中の歯をまもるには?
スポーツでは、相手の肘が顔に当たったり、ボールが飛んできたり、転んだりすることがあります。
そんなとき、意外と危ないのが「歯」です。💥
歯が折れる、抜ける、グラグラになる――。
こうしたケガを防ぐために使われるのが、スポーツマウスガードです。
単純に、マウスピース、とも言われますね。
📊ケガのリスクを半分以下に!
2019年に26件の研究をまとめた報告では、マウスガードを使っていない人は、使っている人よりも、口や顔のケガのリスクが約2.3倍高いという結果でした。
反対に考えると、マウスガードを使うことで、ケガのリスクを約57%減らせる計算になります!
なかなかの効果ですね。
【出典】Knapik JJ, et al. Sports Medicine. 2019.
研究の詳細はこちら
🏀バスケットボールでも効果あり!
米国の大学バスケットボール選手を調べた研究では、歯のケガの発生率は、
・マウスガードあり:1,000回の競技参加につき0.12件
・マウスガードなし:1,000回の競技参加につき0.67件
でした。
マウスガードを使った選手では、歯のケガの発生率が約82%少なかったのです。
格闘技やラグビーだけでなく、バスケットボールやサッカー、野球などでも、歯をぶつけることはありますよね。
さまざまなスポーツで、マウスガードの有効性が示されています。
【出典】LaBella CR, et al. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2002.
研究の詳細はこちら
🛡️どんなマウスガードがいいの?
こんな有効なマウスガードですが、大きく分けて3種類あります。
・買ってそのまま使う既製品
・お湯で軟らかくして歯に合わせるタイプ
・歯科医院で作るカスタムメイドタイプ
2024年の国際ガイドラインでは、カスタムメイドタイプは、最も外れにくく、快適で、防護性に優れるとされています。
歯にぴったり合うため、話しやすく、呼吸しやすいこともメリットです。
【出典】国際歯科外傷学会・Academy for Sports Dentistryガイドライン、2024年
ガイドラインはこちら
🧠脳震盪も防げるの?
マウスガードは、歯や口のケガを減らす効果が確認されています。
一方、脳震盪を防げるかどうかは、まだはっきりしていません。
「マウスガードを入れたから無敵!」ではないので、ヘルメットや安全なプレーも大切です。
🦷歯にもプロテクターを!
一度折れたり抜けたりした永久歯は、完全には元に戻りません。
ヘルメットは頭を守る。
すね当ては足を守る。
そして、マウスガードは歯を守る。
試合だけでなく、練習中も忘れずに使いましょう!🏃♂️✨
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